弟が結婚した。
相手は高校時代からのお付き合いしていた子。
クール系の美人さんで、ちょっと人見知りだけどもうすっかり我が家に馴染んでくれている。と思いたい。
弟は地元で就職して結婚し、実家からさほど離れていない場所で新しい家庭を作り始めた。
わたしが帰省すると、二人で実家にきてわたしのご飯を食べてくれる。
お嫁さんが一人で来ることもある。わたしは彼女が可愛くて大好きなので本当に嬉しい。
こんな書き方をしているとさも最近の事のようだけど、結婚したのは何年か前の話だ。
結婚する予定で~という話を聞いた頃に震災があり、その影響で入籍や挙式が遅れていた気がするので、入籍してからもう五年くらいは経っているかもしれない。その辺はちょっと自信がない。適当な姉である。
そんな弟一家に、新しい家族が出来た。
令和元年の冬に産まれた、いわゆる「令和ベイビー」である。
話が少し脱線するが、わたしには姉もいる。
姉・わたし・弟の三人兄弟。この場合は三人姉弟かな。
姉も既婚者で、男の子が一人いる。今年二歳になる甥っ子だ。
最近は基本移動が「走る」になり、日本語になりきらない言語をよく喋る。
写真や動画を親族内で共有できるアプリでは、防御力の低そうな短い長靴をはいた彼が、公園に出来た巨大な水溜まりの中にそれはそれは勇ましく進んでいく姿が投稿されている。
勇ましく挑んだ勇者の顔は秒速で崩れ去り、大きな足踏みにより上がる水しぶきに奇声を発し、しまいにはその中で尻餅をつき笑顔で姉のカメラに目を向けるという、水溜まりの魅力に陥落する即落ち二コマみたいな動画であった。
かわいい。合法で可愛い。
弟のところに産まれたのは女の子だ。
初めての姪っ子。どちらに優劣をつける気は毛頭ないけれど、かわいい。
男性は女の子の父親になると抱いた瞬間に花嫁姿を想像するという。
わたしは性別を聞いた瞬間に「20歳のお祝いはデパコス沢山買ってあげるね!!!!!!!」と叫んだのでいい勝負である。
年末年始は友人たちとホテルで年越しをし(めちゃくちゃ楽しかった)、年度末に長い休みを取って帰省予定だった。
わたしの帰省に合わせて姉も帰ってくる予定だったので、家族勢ぞろいのはずだった。
「姪っ子との初対面は三月だね~楽しみ~」と浮かれていた。
さて、察しの良い方ならこの先の展開が予想できましたね。
三月の東京と言えば、そうですコロナです。
昨年もインフルエンザが大流行していた時期だったので、今年の流行状況次第で帰省を見送るかもという話は前もってしていた。
が、年明けから「いやこれそんなレベルの話ではなくない…?」という気配を感じ、帰省のチケットを取るに取れない状況のまま一月が過ぎ、いよいよ無理だなと帰省をあきらめた二月下旬。
未だに唯一発症者のいない県なので、あの時帰省を断念して本当に良かったと思う。
収束に向けて世の中や世界が頑張っているけどまだ先は見えないし、終息に至ってはウイルスが世に出回ってしまった以上無理だろう。
収束して自粛制限が解除され日常に戻ったとしても、そこから三か月は帰省しないと決めている。
両親や親族は高齢で、慢性的に医療崩壊が起きているような人手不足の田舎だ。
流行地域で治療が確立され、それが全国的に広まり対応が可能になってからでないと、とても帰る気にはなれない。
さらに厄介なのは田舎の娯楽の無さだ。
帰省を強行して発症した人たちがネットリンチの対象になって問題になったりしているけど、田舎の情報網はネットのそれより早く、熱が冷めるのは遅い。
娯楽のない田舎でゴシップは最高の娯楽だ。
そして「田舎から出て行った人」は出身者であっても「外の人」であり、疫病の運搬者だと分かれば、この先ずっと娯楽の的である。
今年はもう会えないだろうなと思う。
彼女が二歳になる前には会いたいけどどうなるだろう。
三月に高齢の祖父が入院したときも両親には「この状況なので万が一のことがあっても帰省出来ない」と伝えた。
幸い祖父は無事退院したけれど、もし今なにかあってもわたしは帰れない。
姪っ子も甥っ子も、姉も弟も両親も、親族も、友人たちも。
どうか元気でいてくれと願うばかりである。
いつか、姪っ子と初対面をした後にこの記事を読み返して「弱ってたんだねぇ」と懐かしみたい。
そんな日が早く来ることを願いながらアマプラでおジャ魔女どれみを一気見している。
わたしも早く姪っ子のほっぺぷにぷにしたい。(訳:#を観終わりました。)
今週のお題「会いたい人」