読んだもの2023-07&08

7月8月はそんなに本読まなかったし…と2か月分でまとめたら、意外と読んでた。

7月が全然読まなかったんですよね。ほとんど8月に読んだものです。

 

小説

ホーンテッドキャンパス 黒い影が揺れる/櫛木理宇

相変わらず、青春キラキラ恋愛小説と人怖陰鬱ホラー小説の反復横跳びでおかしくなりそう。

嫌ミスのような結末であっても、「だってそれ、自業自得ですよね?」と思わされるのもまた怖い。

これはあくまで森司くんの物語だから、彼が卒業したら終わりかなぁと思ってはいるんだけど、部長の背景や今後が気になりすぎる。

雪大オカルト部として濃ゆい縁になったんだから、ちゃんと関わって見届けさせてほしい。

 

少女葬/櫛木理宇

似た境遇に辿り着いた二人の少女の人生の対比がえぐすぎる。

分岐点はそれぞれに合ったけど、どの分岐を選ぶかは、本人の意思以上にそれまでの人生の素養に大きく影響されるんだよな…。

選ぶのは本人だし、自分の意思で選んでいるつもりであるんだけど。

作中の『馬鹿は罪、弱いのも罪』がこの物語のすべてだった。

罪を自覚しながら目を背けて流された少女の行く末を、ここまで徹底して凄惨に書くなんて。

同じように罪を自覚し、そこから這い上がった少女との対比描写が本当につらい。

二人の少女以外にも、作中に登場したような境遇の子どもたちが実在しているんだろうなと容易に思えてしまうのもつらい。

ままならぬ社会で、せめて手の届く範囲の子どもたちには、生きるための選択肢を増やす力を与えられる大人でいたい。

 

龍ノ国幻想2 天翔る縁/三川みり

自分を偽り、周囲を偽って生きてきた日織が、信頼がなによりも大切なのだと知る。

全てを明かしたうえで、偽らずただ信じて新しい縁を結んでいく。

彼女だから赦せる事、変えていけることがたくさんある。

一方で、積み重ねた先で隠匿される存在ではなかったことが分かればいいという悠花。

彼からすれば、諦めていた生が肯定されるだけで十分なのかもしれないけど…けどさぁ~~~!!!!!!

こんなに丁寧に心の移り変わりや葛藤を描写されたら、夫婦丸ごと幸せになってほしいって願わずにいられないよ。

 

むらさきスカートの女/今村夏子

むらさきスカートの女を観察し、友人になろうと目論む黄色いカーディガンの女。

表紙の時点でむらさきスカートじゃない…これを「むらさきスカート」と言っているのならだいぶ認識に齟齬のある語り手だな…というのが第一印象。

割と早い段階で黄色いカーディガンの女の正体が分かるけど、じゃあなぜ彼女はそんなにも毎日むらさきスカートの女を観察できるのか…と疑問符を浮かばせながら読んだ。

物語が進むにつれて、その疑問は解消される。

むらさきスカートの女が「普通の人」になっていく一方で、黄色いカーディガンの女の異常さが際立っていくのが面白い。

いや、対比してみてるからそう思うのであって、登場人物みんな大体どこか歪んでいるけど。

みんなどこかしらに持った歪みを隠しながら社会に属して生きているんだよね。

水玉スカートに隠れている二人みたいにさ。

 

星の子/今村夏子

映画を先に観ていたのだけど、原作を読んで改めて、芦田愛菜さんって最高の配役だったな。

ちひろは不幸でもかわいそうでもないし、両親に愛されて育っている。

愛してくれている人を疑うのも、その人たちが信じているものを否定するのも怖い。

入信のきっかけが自分だったならなおさら、否定なんてできないよね。

育ち盛りの中学生の夕食が蒸したじゃがいもと豆腐だったり、おいしい物が食べられるから法事を楽しみにしていたり、食べ物の描写が出てくるたびにちひろにとって空腹がデフォルトなのだと分かる。

ちひろがあまりにも当たり前に話すから流してしまいそうになるけど。

わたしから見たら明らかに違和感なのだけど、それがちひろには日常で普通のことだから、救いの手も「必要ない」と払われてしまう。

確かにこの家族は壊れていないし、幸せなんだと思うけど…ここからちひろを救いだせるのか。そもそも救い出す必要はあるのか。

どうしたらいいか分からない。どうしたらいいんだろう。

 

妖琦庵夜話 千の波 万の波(完結)/榎田ユウリ

本当に終わって…しまった……。

ある側面から見れば青目は被害者で、けれどそれ以上に絶対的な加害者で。

この先の彼の人生を終わらせないために、伊織が彼に背負わせた罪。

「お前は兄ちゃんが大好きだからね。」

この言葉だって呪いだけど、彼を締め付けた包帯のような呪縛ではなく、耳にやさしく響く波の音のようであってほしい。

そして、脇坂くんへのお小言から始まった物語は、やっぱり脇坂くんへのお小言で終わる。

変わらないものも場所もないけれど、洗足先生と夷さんとマメくんがいれば、そこが妖琦庵として在り続ける。

物語が終わった後日談としてこれ以上ない一冊だった。

 

丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。(新刊14巻)/竹村優希

わたしは高木さんが大好きなので、第六に隠し事して動いているのも苦しかったし、最後まで本当にハラハラしながら読んだ。

帰ってきてくれてよかった。次郎さん並みに待ってたよ。

占い師の正体も解決してないし、まだ終わりではなさそうだけど、一段落ですね。

次巻は英国編になるのかな。

英国編だと高木さん出てこなそうだけど、彼もお休み必須だから一緒に連れて行ってあげて~!

 

まんが

地元最高(既刊1巻)/usagi

貧困と暴力の連鎖をこんなにコミカルに精緻に描けるものなの?

更生しようとした子たちが馴染めずに結局元の環境に戻ってしまう話をよく聞くけど、日常があまりにも違いすぎるんだな。

そしてやっぱりどこの世界でも知識がある人が上に立つんだね。

 

鹿楓堂よついろ日和(新刊18巻)/清水ユウ

余すところなく面白くて美味しそうで大好き。

勇くんの再登場みたいに、いつか結ばれた関係が続いているのがいいよね。

やりたい事を見つけるのって難しくて、やってみて初めて「続けてみたい、かも」って思うこともある。

わたしもこの仕事を一生の仕事にしたいって、やってみて初めて気付いたもんな。

 

怪物事変(新刊19巻)/藍松本

椿妃ちゃん、本当に本当に本当に良かった…!

教えがいけないんじゃない 悪い教えなのがいけない

『もっといい教えにして』

信仰を取り上げるのではなく、より良いものに変えていく。

小紅羅ちゃんが自分で決めた、小紅羅ちゃんにしか出来ないこと。

そしてすべての元凶は飯生さんで、野火丸は…やっぱり…。

 

口が裂けても君には(新刊9巻)/梶本あかり

茶乃家の過去と、みろくさんの関係。因果。

力をもってしまったがゆえに、『口が裂けても』言えなかったこと。

業が重なり今日まで続いてきた呪いのような縁を、みろくさんと紅一が、良い繋がりに変えてくれると信じている。

前々から思っていたけど、紅一の重さは先祖譲りね…。

 

四谷くんとはじめくん(既刊1巻)/花束葬式

姫ちゃんは重い女に出てくるはじめくんのスピンオフ。

いや、うん、うーん…登場人物みんな恋愛道徳倫理バグっているんだけど、これについてはわたしは何も…言えない…。

はじめくんの「恋人は欲しいし愛されたいけど、好みとかなんかよく分からない」って、その感覚がなんとなく分かってしまうから何も言えない。

お相手の四谷くんに関しても、うん、わかるよ…分かるんだけど駄目です。

完璧理想な人間なんていないのに、恋愛という1対1の閉鎖的人間関係において『第三者で補う』ということをしようとすると道徳倫理バグってる認定されちゃうんだよね。

自分の感覚と現代社会の感覚がずれていることは理解しないと、現代社会の人間と付き合うのは難しいのよ。

 

バイト先の先輩が高校生じゃなかった話(既刊1巻)/文之助

ありがちだけどそれが良い。

わたしも塾生JKになって「若く~ん!」って言いたい。

 

女性に風俗って必要ですか?(既刊1巻)/吉岡その、ヤチナツ

全然知らない世界の話で面白かった。

講習とかあるんだ…そりゃあるか。

性風俗ってメンケア的な側面もあるって聞いたことがあって、さすがに歪すぎないか?と思っていたけど、金銭関係だから割り切れることもあるのかもなぁ。

水商売って馴染みのない世界すぎて、こういう裏方の仕事があるなら一回経験してみても良かったな~。

サブスクで読んだけど、二巻ちょっと気になってる。

 

スーパーの裏でヤニ吸うふたり(新刊3巻)/地主

特装版出るの知らなくて通常版買っちゃった。

距離感とにぶす木佐々木さんにモダモダするけど、そのモダモダを楽しむ物語だからオッケーです。

kindleさん、特装版があることがもう少し分かりやすくなるとありがたいよ~。

 

ブルーピリオド(新刊14巻)/山口つばさ

八雲さんの回想で始まる、桃鉢八雲トリオの過去編。

「俺なんかが大学に行ってもいいのかな」という八雲さんの言葉が、重い。

貧困って選択肢を物理的にも精神的にも奪われることなんだよね。

何度も言うけど、アートって作者が自分のすべてを使って削って生み出していて、だから言葉が出ないほど惹かれたり好きだったり嫌悪したりするのだなと思う。

そして、削りだしたものの分、きっとどこかがすり減っている。

人の心も体も有限だから、休養を取ったりインプットしたりして回復させるのだろう。

でも、その回復が間に合わなかったら。

苦しいけど、苦しいから、早く次巻が読みたい。

 

雑貨店とある(新刊5巻/完結)/上村五十鈴

しおりとミソラの話、最後まで苦手だったな。

エチゴ君が大学生になって、梅ちゃんも少しずつ成長して、馴染みの顔とはいえお店のスタッフも変わってしまった。

でも店長がいればそこに「とある」の空気が生まれて、ブランクなんてないみたいに時間が巻き戻るんだろうなと思う。

今もどこかの「とある」場所でゆるーくやっているんだろうな。

 

まとめ

感想をきちんと書こうと思うと、それぞれの長さと全体の文字量のバランスが難しい。

もっとちゃんと書きたいと思ったら個別に記事化しないと長くなりすぎてしまう。

わたしも人の感想を読むのが好きだから、この世に感想記事を増やすという観点では個別で書くのもありかもしれない。

どう思います?(知らん)

漫画の積読が溜まりすぎているので解消していきたい。

おすすめ本や感想はいつでもお待ちしております!!!!!

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