読んだもの2023-11&12

11月に読んだのか、12月に読んだのか、定かではないけど2023年に読んだものたち。

特に漫画が溜まっていたので、ちょっと長い。

 

小説

雨宮兄弟の骨董事件簿(2巻)/高里椎奈

どのお話も骨董品の描写や蘊蓄を楽しんだけど、テンションが上がったのは三章ですね。

アンティーク×ミステリーを書くならやっぱり出ますよね、曰くつき骨董品。

そしてご両親初登場。

陽人くんの雰囲気から、もっとのほほんとした(花穎くんパパ系)かと思ってた。

世界中で買い付けや販売をする目利きだから、のほほんとばかりはしていられないわよね。

そして、まだまだ謎に包まれている海星くんの出自。

物語が動くのは次巻に持ち越しだけど、雨宮家がいかに海星くんを愛しているかが垣間見えました。

価値のある物は初めからその価値を確約されて生まれるわけではない。

歳月を重ねていくなかで、愛され手をかけられ、そうやって価値が創られていく。

作る人、慈しむ人、守る人、価値を見出す人。

あらゆる人が関わって、アンティークというのは誕生するんですね。

骨董品がそうであるように、海星くんも雨宮家で新たな価値を創造しているのでしょう。

 

南の子供が夜いくところ/恒川光太郎

夜市が面白かったので、サブスクで借りました。

ホラーに分類されているけど、ホラーか?不思議な話たち。

架空の島で起きる不思議な出来事の短編連作集。

同じ島が舞台で共通の登場人物がいるから、確かに連作なんだけど、繋がりそうで繋がらないもどかしさ。

不思議な出来事のはずなのに、妙に現実感があって、世界のどこか・歴史のどこかで起きていたのかもしれないと思わされる。

どの話も仄暗かったり、物悲しかったりするのに、なぜか柔らかく温かい読後感です。

 

質屋からすのワケアリ帳簿(新刊4巻)/南潔

続刊出ると思ってなかった~!忘れられてなくてよかった。

「千里ちゃん、まさか…いやいや繋がらんでしょ」と思っていたところが、まさかを通り越して繋がってきた。

だって、そこ繋がったら宗介さんが動ける範囲だもんよ~そりゃ当主然とした笑顔にもなりますって。

千里ちゃんが誰の所有物なのか言い聞かせる烏島さん、本当に好き。

 

何者/朝井リョウ

サブスクで借りました。

拓人の視点で進む一人称と、登場人物のSNS投稿と、会話。

それぞれの使い方(入れ込み方)がめちゃくちゃ上手くて、現代ならではの小説だなと思った。

わたしは就活で苦労したことがないから、その辺のリアルさは分からないんだけど、誰かといえば拓人タイプなので、共感羞恥でのたうち回りそうになった。

これ、2012年発売なんですね…10年前にはもうこんなSNS発達してたんだ…うそでしょ…(インターネット老人会

 

コンビニ人間/村田沙耶香

サブスクで借りました。

文章のテンポがとても好みで、あっという間に読んでしまった。

サイコパスめいた主人公が『普通の人』に何とか擬態して生きる話。

冒頭のお客様への対応描写で、この主人公が『マニュアルを踏襲したうえで学習できる優秀な人物』なのが分かる。

いくら18年同じコンビニでバイトしてようと、どうしてもマニュアル以上のことができない人はいる。

そのほかにも、周囲を観察して擬態するために取り込むとか(上手くいってないけど)、白羽に対する理路整然とした話し方とか、この主人公、本当はめちゃくちゃ優秀なんだろうな。

ただ、社会の歯車としては異形だっただけなんだと思う。

多分、導ける人と出会っていたら、正社員になって店長になったり、他の仕事で活躍出来たりしたんだろうなと。

異形な彼女に対して、周りが『普通の歯車』としての役割を求めたから、普通の皮を被って擬態することになってしまった。

でも、歯車ってカチッと嚙み合わなきゃ動作不良を起こすから、皮を被って厚さが変わった彼女の『普通』ではハマらないのよね。

対して、白羽はおそらく『普通だけど、認めたくない人』で。

望めば歯車として収まることができる彼は、それは嫌だと社会に向けて唾棄するけれど、望んでも収まることのできない主人公は、収まろうと努力する。

その対比が秀逸ながら、どうしたって叶わないから滑稽にも見える。

いやぁ、面白かったです。

読書感想文を書きたくなる一冊だった。

 

ケルトン・キー(道尾秀介

サブスクで借りました。

ラストは『サイコパス乱闘ブラザーズ!』って感じで、あり得ん過ぎて面白かった。

クリミナルマインドで似たような話を見ていたせいか、途中で「これって多分、だよね」となってしまい、良いのか悪いのか……。

出生と環境、脳の仕組みみたいなところが興味深かった。

 

まんが

いやはや熱海くん(2巻)/田沼朝

このマンガがすごい!2024』オンナ編3位ランクインおめでとうございます!

周りで読んでいる人に会ったことないから、わたししか読んでないのか?と思っていたけど、ちゃんと世間に見つかっていた、嬉しい。

の、ような。や違国日記が好きな人は好きだと思うんだよなぁ。

日常のなかで「え、なんか嫌だな」という感覚を、そこで終わらせずに「なんでそう思ったんだろう」「違う角度から見たら別に嫌じゃないのかも」とほどいていく過程が好き。

第一印象で偏見や先入観で人を判断してしまうことってある。

でも、そこで心をシャットダウンせずに知ろうとすることが大切なんだなと思う。

考えることは大切だけど、それに加えて、関わらないと進まない。

苦手な分野だ…足立一家のように間口の広い人間になりたい…無理かも。

 

10年ぶりの初カレがすごい(5巻/完結)/茶九楽ゆっけ

少女漫画の王道全部詰め込んで程よい5巻で完結、良い。

音信普通の理由に「いやいやさすがにそれは?!」ってなったけど、まぁいいか、少女漫画だし。

少女漫画とTL漫画の間で楽しませて頂きました。

 

ゆびさきと恋々(9巻)/森下Suu

どちらのご家族も友人たちも優しくていい人ばかり。

このまま意地悪な人が出てこない世界であってほしい。悲しむ雪ちゃんは見たくないので…。

雪ちゃんの逸臣さんへの信頼が大きくて優しくて、世界はそれを愛と呼ぶんだぜ

アニメ化で、ご家族も逸臣も聴いたことのない雪ちゃんの声を、わたしたちだけが聴けるって、なんだかすごく不思議な気持ちになる。

 

花野井くんと恋の病(14巻)/森野萌

自分を救ってくれた二人が会えたかもしれないその機会を、自分の感情を優先したことで永遠に奪ってしまったと気付いたら…花野井くんの性格なら、そりゃ自責が止まんなくなるって。

過去の出来事に『たられば』はつきもので、どうにもならない。

頭で理解している事と、感情っていうのは別物で。

でもさ~~~そんなん誰にも分かんないんだよ。

人生も人間関係も複雑なピタゴラスイッチなんだからさ~~~~!!!!

ここにきて新キャラが出ると思わなかったけど、新キャラ、適度に安定をかき乱していい感じですね。(誰目線?)

響ちゃんが大好きだから、ケイちゃんにぎゅーっとされて号泣してるとこ、可愛くて愛しくて泣きそうになっちゃった。

 

顔だけじゃ好きになりません(8-9巻)/安斎かりん

ゆずちゃん、めちゃくちゃいい子じゃあん!!!!

さなちゃんの素直さがゆずちゃんも救っていたなんて…いい友情だ…人としてめんどくさいけど…(一言余計)

かなさなカップルとは別に、わたしは土井さなも好きなんだよなぁ。

さなママと弟、ノリとテンションがさなママ&弟でめちゃくちゃ良かった。

「モニタリング?」と「才南ちゃんやってんね!?」が好きすぎる。

新キャラ、一緒にピアス買ったっていう人かな?次巻もわくわく。

 

ガールクラッシュ(7巻)/タヤマ碧

スアさん、とても人間味があって危うくて大好きなんだけど、神の視点で見てるから気付ける魅力だよねぇ。

舞台の上で見たら、わたしも他の人に目を奪われてしまうんだろうと思う。

うーん、苦悩を魅力に転換してほしいけど、どうなるんだろう。

浮ついている自分を正して、優先順位を間違えずに断ち切れる天花ちゃん、かっこよくて大好きだ。こんなアイドルがいたら推してしまう。

自意識を自信に変えるための努力が出来る人が好き。

 

 

恋せよキモノ乙女(11巻)/山崎零

ももちゃんの恋愛奮闘記からお仕事漫画要素が強くなってきて、ますます好きになった。

『楽しい』や『好き』だけでは仕事ができなくなる時って、絶対あるよね。

自分がやりたい事と先方の求めているものの板挟みになったり、理想の押し売りになってお客様を見失いそうになったり。

趣味を仕事にした人が幾度となくぶち当たる葛藤だと思う。

一足飛びに成長なんてできないから、誠意をもってその時の精一杯でやっていくしかないのよね。

そうしてきちんとやってきたことって、ちゃんと繋がっていくから。

 

海が走るエンドロール(5巻)

進むためには沢山の熱量が必要なのに、止まるときはたった一つの言い訳があればいい。

その言い訳だって、過去の自分や周りが勝手に作ってくれる。

「歳なんだから」「男/女なんだから」「素人のくせに」エトセトラエトセトラ。

それを振り切って、また歩き出す熱量を自らに見出すうみ子さんはすごいな。

周りがどんなに望んでも、止まり続けて終わってしまう人はいるから。

一方で、止まり続けていられないほどの衝動を抱えている人がいるから、創作物というのはどの時代でも生まれる続けているのかなと思った。

 

刷ったもんだ!(9巻)

虹原的にはてんやわんやだと思うけど、コミケ繁忙期の話好きなんだよね。

真白たちのコスプレも可愛い~ヤバかわ感謝祭、使っていきたい。

東雲さんの下で着実に成長する呉須くん、いいよ~いい性格同士、頼もしい。

「期待してるじゃないですか」っていう呉須くん、これからもそうやって東雲さんに頼らせてやってくれ。(誰)

刷ったもんだ!本当に良い漫画なので、もっと世間に見つかってほしい。

 

眠れぬ夜はケーキを焼いて(3巻)/午後

サブスクで借りました。

夜中に部屋に広がるお菓子の香りって、なんであんなに特別なんでしょう。

お菓子自体が特別なんだけど、昼に作るのとはまた違う特別感がある。

1,2巻よりも全体的にお話が軽やかになっている気がする。

このまんがを描くことで、作者の方が自分に優しい夜を過ごせているといいなと思う。

 

恋するMOON DOG(11巻)/山田南平

チャロの話、それぞれが自分の責任と罪悪感を抱えていて、これが命と暮らすことの重さなんだなぁ。

そして、ノーリード、ダメ絶対!!!!

動物を愛しているからこそ、許さないりっかちゃん最高に好き。

わたしは動物全般が苦手なので、伸びるリードもやめてほしいくらいだよ。怖い。

「動物がかわいそう」って、かわいそうにしてるのは全部人間の責任です。

りっかちゃん、本当によく言ってくれた。

 

アヤメくんののんびり肉食日記(17巻)/町麻衣

若干この漫画のノリに飽きてきたな…下ネタ多いし…(それは元々)

でも蓑田くんと桃木さんの行方は気になる。

 

うるわしの宵の月(7巻)/やまもり三香

「宵ちゃんってさ、すげーかわいいよね」

今更言われなくても、知ってますけど?ずっとかわいいですけどぉ???(突然キレるな)

色んなコスプレ宵ちゃんが見れて、とても良い巻であった。

一昔前まで少女漫画の文化祭セオリーと言えばメイド喫茶執事喫茶・お化け屋敷だったけど、最近はコスプレ喫茶をよく見るね。

 

SANDA(9-11巻)/板垣巴留

溜まっていたので一気に読んだ。

過保護に扱っているように見えて、結局自分たちの都合で物事を管理しようとする大人サイドの陰湿さ。

存在に胡坐をかく子孫サイドのこまっしゃくれた感じ。

なんか、なんだ、すごいな…どういう思考で描いてんだろ。

ちゃんとサンタの設定を活かしながらぶっ飛び要素入れてくる発想がすごすぎる。

三田家がサンタ印税で暮らしてたのには「確かに!」って笑ってしまった。

しかし出てくる神たちがマイナー過ぎる。いいね。

 

極楽街(3巻)/佐乃夕斗

アルマくん…元気無鉄砲主人公は一度失ってからあらゆるものを得ていくのがセオリーだけど、どんな物語でもその瞬間を見るのは悲しいね。

ネイちゃんがま~~~じ可愛くて最高。強いのがまた最高。

今の時点でタオさんの過去がしんどいの分かって、次巻やだなぁ。

あと、極楽街読んでると町中華食べたくなる。

 

怪物事変(20巻)/藍本松

なっ、え、展開どない?!

炉薔薇好きだったから再登場嬉しいけど、前のお顔の方が好みだったな。

ようやく明かされた怪物屋の創立経緯と、隠神さんの過去。

そこで出会った三人に紺ちゃんが加わって、離れ離れになっても夏羽くんのことを信じて動いている。はぁ~かわいい子たち、愛しいね。

飯生さまの目的って、それはもう妲己ちゃんじゃないですか。

彼女と対峙したとき、夏羽くんや野火丸はどんな言葉をかけてどう動くんだろう。

 

まとめ

まんがパート、書いても書いても終わらなくて、どうしようかと思った。(自業自得)

めちゃくちゃ漏れがある気がしないでもないけど、それはまぁ、仕方ないですね。

2023年は254冊読んだみたいです。

2024年はどんな感じでまとめていくか思案中。

小説漫画問わず、おすすめはいつでもお待ちしています。

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